18世紀中頃(1843年以前)、ゾンマーは、自身が演奏するために「ゾンメロフォン」(Sommerophone、またはゾンマーフォン Sommerphone:獨)といふ樂器を開發しました。これは、カール・W・モリッツ(Carl.W.Moritz)による「テノールテューバ(Tenortuba)」を基に作られたもので、この「ゾンメロフォン」が、「Euphonion」(Euphonion:獨)、または「Euphonic horn」などと呼ばれるようになったとされてゐます。*2
しかし、ユーフォニアム登場以前の他の樂器と同じく、スケッチや畫像が見つからず、ゾンメロフォンがどのやうな外觀の樂器であるかは謎のままでした。*3
2003年(平成15年)、筆者は、やうやくゾンマーといふ人物のフルネーム、及びゾンメロフォンの形状を發見するに至りました。*4 イギリスのインターネットサイト「People Play UK」にて、以下の資料が見つかったのです。
※ 現在は、こちらで公開されてゐます
Victoria and Albert Museum
Home > Collections > Furniture > Musical Instruments > Musical Performance from the 1670s to the Present Day > Image
この資料は、1851年にイギリスで開催された大博覧會(のちの萬國博覧會)にて、ゾンマー自身が演奏した「Farewell to the Exhibition」といふ樂譜の表紙です。ゾンマー自身と思はれるゾンメロフォン奏者、フェルディナント・ゾンマー(Ferdinand Sommer)、オルガン奏者、そしてアルバート王子、ヴィクトリア妃(後の女王)、その家族、等が描かれてゐます。
これを見ますと、ゾンメロフォンの形状は、
・現在のユーフォニアムよりかなり細身
・4本のロータリーヴァルヴを備へてゐる
・テューバ型
・おそらくB管かC管
であることが、判ります。後にウィーンやドイツで使はれた、テューバ型の「バスフリューゲルホルン」(Bassflügelhorn:獨)に、大変よく似てゐます。
1851年當時のSommerophone
Bassflugelhorn (Tenorhorn) Ackermann & Lesser 製, Dresden, 19c末-20c初頭の作か *5
F.ゾンマー自身は演奏家ですので、勿論自分で樂器を製造したわけではありません。彼が名付けた「ゾンメロフォン」は、その製作者らによってさらに改良され、1844年、フランツ・ボックにより「Euphonion」、フェルディナント・ヘルによって「Hellhorn (Euphonium)」として、それぞれウィーンにて特許申請されました。*6
一方、ベルギーのA.サックスによる「サクソルン属」(Saxhorn:佛)の特許取得は1845年になってからです。*7 サクソルンバスの發明以前に、「Euphonion」または「Euphonium」といふ名称の、BB(またはC)を第一倍音とする金管低音樂器が發明されてゐた事實をもって、ユーフォニアムの元祖はサクソルンバスではなくゾンメロフォンだといふことになるのです。
また、もしさうなら、F.ゾンマーが演奏したといふ「Farewell to the Exhibition」は、現存するユーフォニアムのソロ曲としては、最も古い曲といふことにならうかと思ひます。殘念ながら、筆者が探し出せたのは樂譜の表紙畫像のみで、曲そのものについては不明です。この資料は、前述の Victoria and Albert Museum に所蔵されてゐるやうですので、いつの日か再演されることを願ってゐます。*8
*1. Clifford Bevan, "THE TUBA FAMILY" (2nd Edition), P.221, Piccolo Press, 2000. 等
*2. 前掲書等
*3. Anthony Baines, "BRASS INSTRUMENTS - Their History and Development" P.258, DOVER PUBLICATIONS, INC., 1993.
*4. Shigeki Saeki, 管楽器「音」故知新 68:「ユーフォニアムの発明者はA.サックス」といわれているけれど… "PIPERS" No.273, P.72, Sugihara Shoten, 2004.
*5. Collection of Hidekazu Okayama (PROJECT EUPHONIUM), "Bassflugelhorn (Tenorhorn)" Ackermann & Lesser Dresden, End of 19 century to early 20 century.
*6. Herbert Heyde, "Das Ventilbrasinstrument", P.217-219, Breitkopf & Härtel, Wiesbaden, 1987, ISBN 3-7651-0225-3.
*7. 前掲書 A. Baines, "BRASS INSTRUMENTS - Their History and Development" P.253.
*8. R. Winston Morris, Lloyd Bone, Eric Paull, "Guide to the Euphonium Repertoire: The Euphonium Source Book", P.8, Indiana Univ Press, 2007.


2003年(平成15年)、筆者は、やうやくゾンマーといふ人物のフルネーム、及びゾンメロフォンの形状を發見するに至りました。*4 イギリスのインターネットサイト「People Play UK」にて、以下の資料が見つかったのです。
※ 現在は、こちらで公開されてゐます
Victoria and Albert Museum
Home > Collections > Furniture > Musical Instruments > Musical Performance from the 1670s to the Present Day > Image
【加筆前】
2003年(平成15年)、筆者は、やうやくゾンマーといふ人物のフルネーム、及びゾンメロフォンの形状を發見するに至りました。*4 イギリスのインターネットサイト「People Play UK」(http://www.peopleplayuk.org/ 現在アクセスできなくなっています)にて、以下の資料が見つかったのです。
また、もしさうなら、F.ゾンマーが演奏したといふ「Farewell to the Exhibition」は、現存するユーフォニアムのソロ曲としては、最も古い曲といふことにならうかと思ひます。殘念ながら、筆者が探し出せたのは樂譜の表紙畫像のみで、曲そのものについては不明です。この資料は、前述の Victoria and Albert Museum に所蔵されてゐるやうですので、いつの日か再演されることを願ってゐます。*8
【加筆前】
また、もしさうなら、F.ゾンマーが演奏したといふ「Farewell to the Exhibition」は、現存するユーフォニアムのソロ曲としては、最も古い曲といふことにならうかと思ひます。殘念ながら、筆者が探し出せたのは樂譜の表紙畫像のみで、曲そのものについては不明です。この資料は、Victoria and Albert Museum に所蔵されてゐるやうですので、いつの日か再演されることを願ってゐます。*8
F.ゾンマー自身は演奏家ですので、勿論自分で樂器を製造したわけではありません。彼が名付けた「ゾンメロフォン」は、その製作者らによってさらに改良され、1844年、フランツ・ボックにより「Euphonion」、フェルディナント・ヘルによって「Hellhorn (Euphonium)」として、それぞれウィーンにて特許申請されました。*6
【訂正前】
F.ゾンマー自身は演奏家ですので、勿論自分で樂器を製造したわけではありません。彼が名付けた「ゾンメロフォン」は、その製作者らによってさらに改良され、1843年に「Euphonion」、1844年に「Euphonium」として、それぞれウィーンにて特許が取得されました。*6